生活・活動

日本には、障害をお持ちの方が地域で生活するために様々な制度やサービスがあります。ここでは、住まいや日中に活動をする場所、在宅サービスなど、皆さまを支える制度の紹介をしたいと思います。

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目次

共同生活援助(グループホーム)

グループホームとは、『障害者総合支援法』に基づく障害福祉サービスのひとつです。施設内には、家事援助や日常生活での相談を受ける世話人、食事や入浴、トイレなどの介護支援を行う生活支援員などの職員が配属されており、日常生活上の援助を受けながら生活を送ります。利用者に一人ひとりが自分に合った支援を受けながら自立した暮らしを目指す生活の場になります。

サービスの対象となるのは、身体障害者、知的障害者、精神障害者、難病患者などで、原則として18歳以上になります。

障害福祉サービスの利用料は原則1割負担で、世帯の収入によって自己負担上限額がかわるので、0円で利用できる場合もあります。しかし、それとは別に家賃や食費、水道光熱費、日用品費などの負担があるので、事前に施設に確認しましょう。

利用の流れ

障害福祉サービスを利用する場合は、障害福祉サービス受給者証(以下、受給者証)の交付を受ける必要があります。まず、市町村の窓口に利用申請をしますが、指定特定相談支援事業所に申請の代行を依頼することもできます。申請後は、指定特定相談支援事業所に依頼をし、聞き取り調査のうえサービス等利用計画案を作成してもらい、市町村に提出します。市町村が支給を決定すると、受給者証が交付されます。

グループホームへは申し込みをすることで、見学・体験ができますが、受給者証をお持ちでない方も可能です。体験などを通し、利用したい施設が決まったら、受給者証を提示して入居申し込みをします。入居が決定したら施設と利用契約を結び、正式に利用が開始となります。

自立生活援助

自立生活援助とは、一人暮らしなど地域で生活を始めた障害者に対して、生活上の相談を聞いて、サポートを行う福祉サービスです。具体的には、定期的な巡回(家庭訪問)で、体調や食事・掃除などの家事で困っていることはないかの確認や、家賃など支払いに問題がないかなどの確認を行います。また、必要に応じて情報の提供や、相談、医療機関等との連絡調整を行います。

このサービスは、障害者施設、病院、自宅などを出て一人暮らしを始めた障害者や、すでに独立生活をしていて支援を受けることで自立した生活ができる人が対象となります。年齢制限はありません。

利用の流れ

自立生活援助は、共同生活援助(グループホーム)と同じ障害福祉サービスなので、市町村の窓口に相談、申請をし、受給者証の交付を受けます。受給者証が手元に届きましたら、サービスをしている事業所と契約を結び、正式に利用が開始されます。

地域活動支援センター

地域活動支援センターは、障害者総合支援法の地域生活支援事業に位置付けられた支援機関です。障害者の方が地域において自立した日常生活または、社会生活を営むことができるようになることを目的に、施設内で創作活動や生産活動、社会との交流促進の機会を提供しています。Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型の3類型に分類され、当事者に対し食事やレクリエーションの提供といった日常生活に関する具体的な支援や、不安や孤独感などの解消をはじめ生活上の問題に関して助言や支援を行います。また、内職作業などの生産活動を通し、利用者に対して工賃を支給している事業所もあり、就労へのステップアップを目標に利用する人も少なくありません。

Ⅰ型

精神保健福祉士などの専門職員がおり、日常生活の相談や地域の医療機関・支援機関などと連携してサポートをします。また、地域住民ボランティアの育成や啓もう活動も行っています。

Ⅱ型

就労が難しい障害者を対象に、機能訓練や対人スキルのトレーニングなどの社会適応訓練、入浴サービスなどを提供しています。

Ⅲ型

旧小規模作業所としての実績が5年以上あり、 安定した運営が行われている施設が該当しますが、活動内容は施設によって様々です。

利用の流れ

地域活動支援センターの利用対象者は、基本的に施設のある地区町村に在住している障害者ですが、地域外でも利用できる場合や年齢制限や医師の許可が必要といった条件がある場合もあります。地域活動支援センターを利用する場合、手続きが必要かは施設によって異なります。利用料金も施設や受けるサービスによって異なるので事前に確認が必要です。登録が必要な場合は、まず電話やメールで問い合わせをして、職員と面談を行い、その後必要書類の提出や見学・体験利用を経て正式に利用するという流れが多いです。

自立訓練

自立訓練とは障害者総合支援法に基づく訓練等給付の一つです。機能訓練と生活訓練の2種類あり、自立した日常生活や社会生活が送れるよう、一定期間身体機能や生活能力の向上のために訓練を行います。

機能訓練

機能訓練は、主に身体障害や難病などにより身体機能・生活能力の維持・向上のための訓練が必要な人を対象としており、理学療法や作業療法などの身体的リハビリテーションのほか、生活面における助言や相談などを行います。歩行訓練、コミュニケーション訓練、家事訓練などの実践的な訓練により、身体機能や生活能力の維持・向上を目指します。事業所に通所してサービスを受けるほか、利用者の居宅訪問にてサービスを受けることも可能です。

生活訓練

生活訓練は、地域生活を送る上で生活能力・技術のための訓練が必要な精神障害者や知的障害者を主な対象としています。生活訓練のサービス内容は、日常生活を送るうえで必要となるスキルを獲得するための訓練や、利用者個々の状況、課題に対する相談、助言を行います。事業所に通所する通所型と、住まいも提供する宿泊型があります。

・日常生活スキルの獲得:食事、清掃、買い物、身だしなみ、金銭管理の支援、社会生活技能訓練(SST) など

・健康管理:服薬管理、通院同行、障害理解 など

・対人関係:コミュニケーション力の向上、家族・友人関係への助言 など

・社会参加:外出支援・同行、余暇活動の促進、就労に向けた支援 など

・地域生活への移行:物件探し、引っ越し手続き、家族との相談 など

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利用の流れ

障害福祉サービスなので、利用には受給者証が必要になります。市区町村の窓口に申請の相談に行き、サービス等利用計画の作成を行い、受給者証が発行されます。その後、自立訓練事業所と契約を結び利用が開始されます。

利用期間は原則、最長2年間ですが、長期入所・入院をしていた人の場合は3年間まで利用が可能です。

精神科デイケア

精神科デイケアは、精神疾患を抱える人が社会復帰を目指し、通所する日帰りのリハビリテーションを行う治療の一つです。精神科リハビリテーションにはデイケアを含め4種類あります。デイケアは朝から夕方までの6時間利用が基本ですが、午前か午後の3時間のみのショートケア、夜のみ4時間のナイトケア、朝から夜まで10時間のデイナイトケアというものもあります。

病院などに併設された、施設に通い、他利用者の人たちと交流をしながらプログラムに参加をします。

プログラム例:

・料理、音楽、映画鑑賞、園芸など文科系のプログラム

・ストレッチ、体操、卓球、ヨガなどの運動系プログラム

・社会生活技能訓練(SST)、認知行動療法、障害理解に関わる心理教育などのプログラム

・ビジネスマナーやPCトレーニングなどの就労支援プログラム

利用料金

精神科デイケアは、治療の一つなので、健康保険が適応されます。具体的な費用は、デイケアの規模や状態によって異なりますが、通所回数が増えれば負担も大きくなります。しかし、自立支援医療もが適応されるので、月の上限額以上の負担にはならないので安心してください。

利用の流れ

精神科デイケアは決まった利用期間や年齢制限はありません。ですが、あくまで治療なので主治医がデイケアの利用が適切であると判断していることが条件になります。一般的には、デイケアの担当である医師が診察をし、必要性を確認したうえで、デイケア内で受け入れ可能か判断をすることが多いです。

他の病院に通院している人も受け入れ可能な施設もあるので、利用については事前に確認をするといいでしょう。

訪問看護

訪問看護とは、病気や障害を抱えた方の自宅に看護師などが訪問して、健康状態の悪化防止や回復に向けて支援を行うサービスです。訪問にくるのは、地域の訪問看護ステーションや医療機関から派遣される看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などになります。具体的なサービス内容は、バイタルチェックや医師の指示に基づいた医療ケア、服薬チェックやリハビリの提供などがあります。

精神科訪問看護

精神障害を抱えた方に対する訪問看護では、社会生活機能の回復を目的として、専門スタッフが看護・療養上必要な支援・社会復帰指導などを行い、生活上の悩みについて相談にのります。

具体的なサービス内容は、生活習慣に関する助言・指導、生活技能の獲得、コミュニケーション能力の維持向上の援助、家族関係の調整、精神症状の悪化防止など、一般の訪問看護の内容とは少し異なります。

利用料金

訪問看護の利用料金は、介護保険の適応か医療保険の適応かで料金が異なり、利用時間や回数によっても異なります。保険適応であれば1~3割の自己負担額でサービスを受けられますが、全額自己負担でサービスを受けることも可能です。費用はかかりますが、病気の種類や利用時間、利用回数などにおいて制度上の制約などはないため、利用者本人や家族の自由な意思で利用が出来ます。

利用の流れ

訪問看護の利用を希望する場合は、まず主治医に相談してください。精神科訪問看護の利用には主治医が発行する「精神科訪問看護指示書」の交付を受ける必要があります。その後お近くの訪問看護ステーションなどサービスを提供している事業所と契約を結びます。

利用に関しての相談として病院以外にも保健所や地域包括センター、地域の社会福祉協議会などでも可能です。

荘村明彦『精神保健医療福祉白書2018/2019』 中央法規出版 (2018)

厚生労働省 みんなのメンタルヘルス https://www.mhlw.go.jp/kokoro/index.html

厚生労働省 「障害福祉サービスについて」 

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/naiyou.html

公益財団法人日本訪問看護財団HP

https://www.jvnf.or.jp/

最後

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